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だるろぐ

とてもだるだるした日記です http://about.daruyanagi.jp/

お知らせ

仕事について

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誕生日の次の日なので、少し昔話をしようかと思う。

前の仕事は父がはじめた基礎工事屋だった。単に人を派遣するだけじゃなくて、ちゃんと請負でやる基礎工事屋で、大口径の基礎杭(場所打ち杭という)が専門だ。今はもうなくて*1、弟1号が新しい会社を始めている。つい数日前、新しい看板を見せてもらって、少し嬉しかった。

父は、この仕事をやりたくて始めたのではないという。

昔は喫茶店をやりたいと思っていたらしくて、実際、気が向いたときはなかなか手の込んだ料理を作るし、調理師の免許も持っていたらしい。腕前は……あまり原価計算をしない点が難だけど、母が完全に自信を失う程度には美味しい。そういえば、祖母も料理が美味しくて、そのおかげか、昔から煮魚なんかが好きだ。小学校の頃、事故で半年入院していたのだけど、病院食の煮魚をキレイに食べるので、周りのおじいさんおばあさんによく褒められたものだった。

僕があの仕事をやろうと思ったのは、会社が資金難に陥った(双方に言い分はあるが、要は見積もりと実態が乖離していてあとで揉めて、お金がもらえなかった)のと、機材置き場で創業以来はじめての死亡事故を起こし、古参の職人さんを一人失ったことだった*2。あの日はみんなで朝まで泣いて、そのままみんなを現場へ送り出した。金があれば、現場を全部止めて時間を作ってやれただろうけど。

そんなわけで最初の仕事は、その日判明した100万ほどの当座預金のショートを午後3時までに解決すること、そして亡くなった職人さんの遺族を探すこと(いろんな昔話はしてもらったが、家族の話は一切しない人だった)、あとは労災だの事業改善報告書だのといった労働基準監督署関係の事務だった。足りない人員の穴埋めとして、鉄筋かごを運ぶトラックの運転手だの、基礎現場の下回りだのも同時にこなした。玉掛けはもちろん、移動式クレーンの免許もとった。休みなんかほとんどなくて、お給料は名目800万だったけど(少なかったらお金借りられない)、たぶん実際は月に手取り3万なかった気がする。なので、税金や保険料を払うのには苦労した。でも、怪我をしても僕だけ労災はなかった。

でも、数年間でなんとか持ち直し、機械代なんかの“自然借金”っぽいモノ以外はあらかた返すことができた。

そんなこんなで、そろそろ辞めたいなぁ、と思ったところ、ちょうど下回りとして応援に駆けつけた現場でオペレーターをやっていた弟2号と喧嘩して、ぶん殴って仕事を辞めた。“現場でやることさえこなしていたらお給料がもらえる”という態度に、いい加減腹がたったのだ。ほかの職人だったらそれでも構わないのだけど*3、身内だし、分かってくれていいと思う人にそういう態度をとられて、つい逆上してしまった。まぁ、穏便に辞めたいと申し出ても辞めさせてもらえそうになかったというのもある。

確か、それがちょうど5年ほどの前のわしの誕生日だった。

今は、それからWebで適当・同時に3社応募して拾ってもらったところでお世話になっている。ちなみに、ほかの1社は GIGAZINE で(今の会社のほうが反応が早かったので、結局面接は行かなかった)、もう1社はオンラインゲームの会社(エントリーだけして今後のご活躍をお祈りされた)だった。ただ肉体労働と金の計算以外だったらなんでもよかったのだけど、今の会社は、学生時代にプログラミングをかじっていたのが案外役に立って、のんびり楽しくやっている。

でも、この仕事がやりたい仕事なのかと言われれば、それは違う。

なんでも自分の思い通りには行かないしね。前の会社はもっと自分の思い通りにならなかったけど、それはあくまでも対外的なもので、“対内的”にはまったくの自由だった。失敗も成功も自分に返ってくるので、いつも辞めたいと思っていた割には、充実していたように思う。今は(おもにお給料的に)とりあえず期待された分だけはやる覚悟だけど、あんまりグダグダ言っても場の雰囲気を悪くするだけだし、これでもかなり自重している。仕事のための勉強は積極的にやるけど、それは自分にとって興味があることだし、“やるべきこと”だと思うのでやっている。自分が納得できる“やるべきこと”をやっている間だけ、僕は自由だ。

その点、今の仕事は“やるべきこと”を与えてくれている。

今の仕事の代わりになにがやりたいのかと言われれば、それすらない。この年になってようやく、父の「やりたくて始めたわけではない」という言葉の意味がわかってきた気がする。“やるべきこと”を自分で見つけ出せる人もいるけど、僕みたいな一般ピープルは、洪水みたいに押し寄せる日常の中で、自分にひっかかった“やるべきこと”を後生大事に守っている。「いつでも振り払っていいんだ!」と意気がりながら、やっぱりそれにしがみついてしまうんだな。それ以外になにももたないから。父もその一人だったのだと思うけれど、ちゃんと“やりたくてはじめたわけではないやるべきこと”をまっとうして、最後は会社を潰したけど、それでもみんなのお給料を払ったのだから、やっぱりエラいわけだ。業界平均以下の給料を払うだけならば、書類ちょろまかして5次下請け程度にでもなって職人を派遣し、そのカスリで生きてもよかった。

まぁ、そんななかでもここ数年ようやく、仕事とは別の、自分だけのやりたいことを見つけた。それは、自分が学生時代から考えていたテーマを元に本を書くこと。そのためにはまだまだ全然足りないのだけど、少しずつでも進められたらいいなと思う。これに興味を持ってくれるほんの少しの友人と、もし将来できるのならばその息子や娘に読んでもらえたら、本当にうれしい。

というわけで、そちらに専念したいのでさっさと totoBIG 当たれよください。

*1:今年4月に倒産

*2:僕が小学校の頃からいただろう

*3:そういう契約なので。仮に彼がミスして1,000万損しても、それは経営者が尻拭いすべきことだ