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だるろぐ

とてもだるだるした日記です http://about.daruyanagi.jp/

お知らせ

討議について

共和主義 代議制 政党制

討議は、選択肢を洗練させるために行うのであって、自分の意見に反対するものを味方に引き入れる(≒説得する)ために行うのではない。

たとえば、n 個の議題について賛成・反対を表明するだけでも 2^n 個の立場が生じうる。これを少数によって代表させることなど、そもそも可能なことなのだろうか。おそらく不可能だろう。

しかし、それはそれぞれの議題が互いに“独立”していれば、言い換えれば、互いに依存していなければの話。もし、議題 A に賛同することが、別の議題 B へ反対票を投じることに矛盾するのであれば(逆もまた然りとする)、A と B という二つの議題は独立していない。この場合、一見賛否二通りの組み合わせで 2^2=4 個の立場が発生するように見えて、実のところ矛盾のない意見はたった 1 通りしか生じ得ない。

そこに、代議制に基づく民主政の可能性がある。

およそこの世に存在するものの中で、直接的であればまだしも、間接的にすらまったく関連がないものなど、なかなか存在しえないだろう。慎重に吟味すれば、あまたある立場もたかだか数個の立場に整理されうることがあるかもしれない。一見関連性のない事柄について依存性を指摘したり、考慮に入れそこなった前提を明るみにし、矛盾のある主張を退け、いくつかの本質的な主張のみを残していくことができるかもしれない。そういった主張を篩にかけることが、すなわち「討議」だ。そこから先は、ただ自分の好みや信念に従って、特定の主張を選びとればよい。なにも討議によって自分と主張を異にする相手を説き伏せる必要などない。

一見複雑で無秩序に見える自然ですら、実はいくつかの基本的な物理法則に貫かれているらしい。であれば、複雑な人間の社会にもそうした“いくつかの”正しいあり方があってもおかしくない。もっとも、そのあり方がなんであるかは知る由もない。けれど、あり方を価値的・正義的に等価な“選択肢”として示すことはできる。あり方を選択すれば、さまざまな社会問題に対してそれを矛盾なく適用した方策が導き出せるだろう。そのどれを気に入るかは、有権者次第だ。

そういったさまざまな政策のコアとなる“あり方”こそが、いわゆる政治理念だ。個人的にはどの政党もそれをもっていてほしい。マニフェストに守れもしない約束事を書き連ねるより、そっちのほうがよっぽどわかりやすい*1

一般意思 2.0 への疑念

人々の無意識を現代の情報技術を駆使することで可視化し、それを政治に反映することこそが、一般意志の実現につながる

一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

そもそもルソーの解釈が誤っていると感じるのだけど、そこは我慢して主張を汲むとしても、これは単に民意の「代表」を機械的に行おうといっているに過ぎない。この著者は「討議」を否定しているそうだが(私たちの多くは「何か問題があれば、議論を尽くしたほうが民主主義的でうまくいく」と思っていないでしょうか?)、討議もせずに選択が可能だろうか。

複雑な世界をまるごと有権者に与えたところで、彼らがどんな選択を行えるだろう。だれかが世界を分析し、これから為すべきことをいくつかの選択肢へまとめないと、選択もままならない。

まぁ、選択すらままならないのだからいっそ「無意識」を可視化してそれに従おうという論法なのかもしれないが。

民意 2.0

国民の意思を正しく反映させるために、無作為に選ばれた市民に賢明な判断をしてもらおう

民意2.0:ランダムサンプル選挙で民主主義はもっと正しく機能する « WIRED.jp

これはアリだと思う。ただし、そのままではダメだ。“無作為に選ばれた市民”に政治を任せるとしても、かれらがその資質をもっていると誰が言えるだろうか。

しかし、“無作為に選ばれた市民”に資質が要求されないナイスな方法が一つある。

“無作為に選ばれた市民”が「討議」のみを行い、いくつかの選択肢を提示する。ただし、「選択」には加わらない。「選択」はこれまで通り、一人一票制度(ただし、討議を行った市民は加わらない)で行う。討議と選択から私利私欲をとりされば、よりよい結果が得られるのではないか? 少なくとも、政治を任せるに足る資質をもつ賢者が立候補し、お金と人を集め、有権者を説得し、民主主義的リーダーにのし上がり、終生自分の利害に惑わされず公平な判断を行うことを期待するよりはいい結果が得られるように思う*2

マキャベリだか誰かも言ってたよね。民衆は自分たちで何かをしようとすれば誤ってばかりだが、限られた選択肢から選ぶようにすれば案外正しい判断を行うものだ、と。ちがかったかもしれないけど。

*1:政治家なんか、ほんとは政治理念を演じるピエロ、選択肢の人格化されたものであればいい。自分が信じていない理念に従っていても、それに忠実であればよい政治家だ。その逆はクソだ

*2:選挙が生むのは選挙に長けた人物だけだ